2008年7月2日水曜日

學而(がくじ)第一-四

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曾子曰、吾日三省吾身、爲人謀而忠乎、與朋友交言而不信乎、傳不習乎

曽子(そうし)曰(いわ)く、吾(われ)日に吾(わ)が身を三省(さんせい)す。人の為に謀(はか)りて忠ならざるか。朋友と交わりて信ならざるか。習わざるを伝うるか。

曾子がいわれた、「私は毎日何度も我が身について反省する。人の為に考えてあげて真心からできなかったのではないか。友達と交際して誠実でなかったのではないか。よくおさらいもしないことを[受けうりで]人に教えたのではないかと。」
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■日々、反省せよ。自省できない者に進歩はない。

 最近流行の「成功哲学」は、自分自身を鼓舞するものはあるが「自省せよ」とは説かない。アメリカ発の教育プログラムが多いようだが、弱肉強食の、かの国の流儀では「アイム・ソーリー」と言えば、即、自分の負け、だとか。自分から交通事故を起こしても絶対に謝らないそうだ。訴訟国家、多民族国家の行きつく先は、まあそんなところだろう。しかしここ日本では、そうあっては欲しくない。非は非として素直に謝るところから、新たな出発があると考える。人間再生の思想があるのだ。死ねば、人は“神”とさえ成る。
 人間、毎日、失敗しないで生きる者は無い。「あの時、上司にあんな発言はしない方がよかった」「顧客に自社の非を指摘されて、謝るどころか、言い訳をしてしまった」「相談に来た友人を軽くあしらってしまった」「部下に間違ったことを教えた」などなど、日に三省どころか、五省も六省もしているのが普通ではないだろうか。
 ビジネス社会で信頼を得るには、まず素直な心が必要だ。顧客の真のベネフィット(利益や利便性)を考えるところに勝機がある。ビジネスを戦争に例える考え方もあるが、東洋思想では商売上でも相手を思いやる心を善しとする。つまり「徳」を積み重ねることから「本当の利」を得られると考えた。損をして得を取る。このサムライ魂にも似た商いの哲学は、この日本からいつ頃無くなったのだろうか。反省を恥ずかしがってはいけない。謙虚さは、新たな進歩やアイデアを生み出し、次回の勝利のための糧となる。

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