2008年7月2日水曜日

平成ビジネス論語(BIZ-RON)をはじめる


『平成ビジネス論語』(BIZ論語)を書き始める。

私は、18歳以上30歳代くらいまでの若い社員たちを研修する立場にいる。いわば地方都市にある中小企業内の研修講師という仕事だ。

その時々のトピックをネタに、おもに「いかに生きるべきか」「いかに働くべきか」「いかに他者と向き合うか」などということを「人間学」を中心に講じている。

受講対象者が「接客」に携わる新人社員と中間管理職ばかりなので、もちろん、実務的な知識もやってはいるが、重要科目としてはコミュニケーションや心理学的な話が多い。

そこで、常々感じることは、現代社会の教育現場で最も不足していることは「道徳観」や「倫理観」である、ということだ。

つまり、人間としての最も基本的な「生活態度」や「仕事への心構え」「ものの見方や考え方」が、なっていない、ということだ。まったく嘆かわしいほどに、幼稚な精神構造の若者たちが多い。

そこで、彼らの“教師”として、私なりに勉強していくと、ある分野に辿り着いた。それが「中国の古典思想」である。古典と言っても、21世紀の現代日本においても、決して古くないことに気がついた。

古くないどころか、まさしく「温故知新」であり、今こそ必須の学習科目である、との感を抱いた。たとえば、孔子の「仁」「義」「礼」「智」「信」を説く『論語』にしても、現代社会のカンフル剤たりえる教育素材だと確信する。

それどころか、約2500年前の書物ながら、その生命力たるや、西洋における“聖書”をも凌駕する人間の英知だと思う。まさしく「東洋の聖書」なのだ。中国や韓国、日本などで読み継がれ、その民族の精神構造に大きく影響を与え続けてきたのだ。

そこで私は、自社の研修教材として『論語』をテキスト化するため、いろいろと解説文を書き始めた。しかし、日々の雑務に追われて、なかなか書き進めることができない。

『論語』は500項目ほどの、そんなに長くない本なのだが、かえって短い文章だからこそ、様々な読み取り方ができ、奥深い世界となっている。

そこで、1項目ごとに、ブログとして公開していくことで、自分自身の怠け癖にムチを入れたいと思った。たとえ二、三人程度の読者しかいなくても、それが励みとなって、書き続けられると考えたのだ。

何年かかるか分からないが、一章一章、東洋人の精神構造に深く根付いた「人生哲学」の数々を、現代人にも分かりやすく説明していきたい。

『論語』の原文と通釈は、金谷治博士の『論語』(岩波文庫)を基本とし、原文⇒読み下し⇒現代語訳⇒オリジナルコラムの順に掲載した。ただし、読み下しと現代語訳の部分は、若い人にも分かりやすくするために筆者が加筆修正した部分もある。

はじめに言っておくと、私に漢文学者の素養はない。このブログでは、学術的に『論語』を解説するというよりは、「21世紀のビジネスマン」が、これをどう解釈し、どう読んで、ビジネスに生かすのか、というオリジナルコラムとして読んでいただきたい。

だから、当初タイトルは『ビジネス論語』としたかったのだが、かの著名なジャーナリスト・扇谷正造氏が過去に『ビジネス論語』という本を出版していたので、ここでは『平成ビジネス論語』として、愛称を『BIZ-RON』と決めた。


0 件のコメント: