2008年7月5日土曜日

學而(がくじ)第一-十六

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子曰、不患人之不己知、患己不知人也、

子(し)曰(のたま)わく、人の己(おのれ)を知らざるを患(うれ)えず。人を知らざるを患(うれ)うるなり。

先生がいわれた、「人が自分を知ってくれないことを気にかけないで、人を知らないことを気にかけることだ。」
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■背伸びせず、他人の尺度を気にせずに、自分の研鑽に徹せよ。

 人間は、人に良く思われたい、人に自分の存在を知っていて欲しい、と思いがちである。もっとこの感情が強い人は、有名になりたい、テレビに出たい、周りからチヤホヤされたい、などと言う自己顕示欲の固まりみたいな人もいる。しかしこのような考え方が蔓延している現代社会、いわば弱肉強食の資本主義社会では、このような態度は出世する人間には当たり前の態度と映るかもしれない。でもどうだろう。現代でも、本当に力ある人や本当のお金持ちという人々は、けっして目立とうとはしない。逆に人に知られることは、人の羨望や攻撃目標になってしまう、ということを良く知っている。他人に知られるということは、無用にライバルを作ってしまうことであり、逆に自分を小さな器の中に放り込むようなことなのだ。とかく“有名人”というものは、窮屈になり、他人の目を恐れるあまり自分の力を出し切れないものだ。
 やはり人間は、みだりに自己宣伝をしないで、現在の自分以上に自分を大きく見せようなどとしないで、ひたすら自己の研鑽に励むほうが良い。そうして向上心ともに日々を過ごしている人には、いつか必ず白羽の矢が立つ時がくる。その時、自分はまだその任に非ず、と言っても、周りがほっとかないものだ。きっと持ち上げてくれるはずなのだ。

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