2008年7月9日水曜日

為政(いせい)第二-二十三

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子張問、十世可知也、子曰、殷因於夏禮、所損益可知也、周因於殷禮、所損益可知也、其或繼周者、雖百世亦可知也、

子張(しちょう)問う、「十世(じゅっせい)知るべきや。子(し)曰(のたま)わく、殷(いん)は夏(か)の礼に因(よ)る、損益(そんえき)する所知るべきなり。周(しゅう)は殷の礼に因る、損益(そんえき)する所知るべきなり。其れ或(ある)いは周を継ぐ者は、百世(ひゃくせい)と雖(いえど)も知るべきなり。

子張が「十代さきの王朝のことが分かりましょうか」とおたずねした。先生はいわれた、「殷では[その前の王朝]夏の諸制度を受け継いでいて、廃止したり加えたりしたあとがよく分かる。周でも殷の諸制度を受け継いでいて、廃止したり加えたりしたあとがよく分かる。[だから]もし周のあとを継ぐものがあれば、たとえ百代さきまででも分かるわけだ。」
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■ 過去をどう省みるかで未来が分かる。常に先を読む訓練をせよ。

 子張は、孔子より四十八歳も若い弟子である。「十代先のことまで分かるのだろうか」と言う弟子の問いに、孔子は夏・殷・周三代の王朝を例に天下推移の見方を説いた。しかし正当な系譜の政権の変遷なら連続性はありるうが、現代的な革命手法で見ると、それは当たらないのかも知れない。しかし、この項で学ばなければならないのは、過去をしっかりと調べておれば未来も推察できる、と言うことだろう。なぜ、私たちは歴史を学問するのであろうか。それは将来を見通すための材料にせんがためである。過去は過去ではなく、過去は未来の一部であり、未来の始発点なのだ。
 未来を予測することが必須要件だとされるビジネスにおいても、この点は同じことだと言えよう。なんの過去の実績も考慮せず、ビジネスプランを立案することは、暗闇の中を走ることと同じだ。やはり過去の営業実績、経過、評価、変化を見極めてから行動を起こさなければ、どんな事業も失敗は確実だ。ビジネスはギャンブルではない。必ず成功させなければならない科学なのだ。膨大なデータで、逆に判断を惑わされる場合もあろうが、そこはしっかりとしたコンセプトと冷静な思考があれば、未来の成功は、より確実なものとなる。

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