2008年7月2日水曜日

學而(がくじ)第一-三

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子曰、巧言令色、鮮矣仁、

子(し)曰(のたま)わく、巧言令色(こうげんれいしょく)、鮮(すく)なし仁(じん)。

先生がいわれた、「ことば上手の顔よしでは、ほとんど無いものだよ、仁の徳は。」
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■上っ面だけの人間になるな。徳のある人物になれ。

 ビジネスで“言葉上手”や“へつらい笑顔”は、得か損か。この問題は、2500年前の孔子の時代から現代まで、相も変わらぬ問題らしい。進歩した現代社会であっても、自らの周りをみても納得のいく忠告のようだ。結局、人間は、何千年経っても進歩しないものらしい。
 ここでいう「仁」とは、孔子から連綿と今に続く「儒学(教)」の根本テーマであり、ひらたく言えば、尊敬されるべき人が到達しなければならない境地であり、人が目指すべき究極の目標であり、なにより人間としての「道徳」である。人は、徳をもって仁となるのである。この精神は、特に「拝金主義」に犯された現代のビジネス社会では、もっとも重要な哲学であろう。孔子は、別の章においても「利益を求めるにも道がある」と説いている。村上某や堀江某といった“平成成金”と言われる人々にも、ぜひ聞いて欲しいテーマだ。徳の無い商売は、必ず衰退する。
 確かにうまい言葉で、目先の利益が取れたとしても、人と人の信頼が無いビジネスは長続きしない。これも分かりきったことだ。しかし、日々仕事の忙しさや時代のスピードに追われ、なかなか誠実な顧客対応ができないのも真実だ。でも、長くその仕事で名を成している人物をみると、巧言令色どころか、朴訥にして言葉少ない人が多いことも真実である。たとえばクラブという酒場においても、得てしてNo.1ホステスには、決して美人はいない。顔かたちではなく、「徳」のある付き合いをしているのだ。外回りの営業職についても、心に刻んで欲しいのは、ビジネスの究極の目的は「顧客との絶対的な絆」をつくることだ。だからその人の「徳」が大切なのだ。特にフェイス・トゥ・フェイスのビジネスにおいては、顧客は商品を買うのではなく、その人の「徳」を買っているのだ。

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