2008年7月2日水曜日

學而(がくじ)第一-一

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子曰、學而時習之、不亦説乎、有朋自遠方来、不亦楽乎、人不知而不慍、不亦君子乎、

子(し)曰(のたま)わく、学びて時に之(これ)を習う、亦(また)説(よろこ)ばしからずや。朋(とも)遠方より来たる有り、亦楽しからずや。人知らずして慍(うら)みず、亦君子ならずや。

孔子先生がいわれた、「学んでは適当な時期におさらいをする、いかにも心嬉しいことだね。[そのたびに理解が深まって向上していくのだから。]だれか友達が遠い所からからも尋ねて来る、いかにも楽しいことだね。[同じ道について語り合えるから。]人が分かってくれなくても気にかけない、いかにも君主だね[凡人にはできないことだから。]」
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■学ぶ姿勢を持ち続けよ。良き友と語り合え。自分の道を行け。

 おそらく『論語』の中でも最も有名な一節ではなかろうか。論語は知らなくても、この文章を聞いたことがない、という日本人はいないだろう。またこの“学ぶ”ことの大切さを第一に説いたこの文章は、まさにこの書物の哲学そのものであり、この書の入口としては全く的確なものと言える。
 私も新卒採用と社員教育を担当して、日々大学生や新入社員と面談する機会が多いのだが、常々“学歴”は問わないが“学力”は問うよ、と言っている。ここで言う“学力”とは文字通り“学ぶ力”である。このスキルがない者は、いくら研修を重ねても、砂漠に水を撒くようなものだ。まったく時間と労力の無駄である。学歴はあっても学ぶ力が弱い者、学歴はなくても学ぶ力が強い者、人それぞれである。しかし社会人として重要なのは、やはり“学力”であろう。なぜなら、“学歴”は“過去”のものだが、“学力”は“現在”のものだからだ。
 私たちが職業人が日常を過ごすにあたって、まず第一義に心がけねばならないのは、まさにこの学ぶ姿勢である。担当するプロジェクトが成功しようが、失敗しようが、まずその心のうちに秘めていなければならないのは、この学ぶという姿勢だ。良いことからも悪いことからも、どんなことからも、何かを“学び取る”という、貪欲で柔軟な態度なくしては、人間としての成長もないし、もちろん出世もない。心は強くならないのだ。人は成功事例から“勝ち方のエッセンス”を学ぶ者もあれば、たとえ失敗したとしても、謙虚にそのことから、その反攻策・挽回策を立案する者もいるのだ。
 またこの一文には、“学ぶ手法”も示唆されている。それは「繰り返し(またはタイミング)」と「他者の視点」と「人的ネットワーク」である。そして最後に「他人の評価を気にするな」と喝破している。まさに勝ち方を知っているビジネスパーソンの考え方そのものと言えよう。「名刺を財産とせよ」「同士と語り合え」「他人の視点を活かせ」「勝つまで繰り返せ」「タイミングを的確につかめ」「評価を気にするな」こんな習慣が、きっと、あなたの仕事をワンランク上に引き上げてくれるはずだ。

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