2008年7月5日土曜日

為政(いせい)第二-十一

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子曰、温故而知新、可以爲師矣、

子(し)曰(のたま)わく、故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る、以て師(し)と為(な)るべし。

先生がいわれた、「古いことに習熟して新しいこともわきまえれば、教師となれるであろう」
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■新しさを創造できる者は、古き良きものを最もよく知る者である。

 真に新しいものなど、この世の中にあるのだろうか。とは、まえがきにも書いたことだが、ビジネスの場面においても、この「温故知新」は最重要の教えとして肝に銘じておきたい。
 これは何も商品企画であるとか、マーケティングや広告宣伝の担当だけの話ではない。営業部門においても、その他管理部門においてもその精神なくしては、現代のビジネス競争で勝ち抜く事は難しいと言えよう。昨今のヒット商品をみても、その新しさは、突然出現したものではない。よくよく考えるとそのエッセンスは、過去の○○にあった、過去の○○を応用したものだった、過去は受け入れられなかった○○が現代人に支持された、などが当たり前なのだ。カップヌードルやボンカレーの例をみても、やはりロングセラーとして残っているのは、第一号商品なのだ。類似商品は、世の流行とともに生まれては消える。つまり原理原則、根本真理、唯一無二が宿っているものは、人類社会が何千年経とうが永遠に真理であり、人間が欲しているものなのだ。この『論語』ですら、浮き沈みはあるにせよ、過去二千五百年間読み継がれているのだ。
 「古い」ということを別の解釈をすれば、「良い」ものだから持続するのだろうし、「力強い」ものだからその輝きを失わないのであろう。音楽でクラシックがショップから無くなることはあり得ないし、『論語』が書店の棚に並ばないことも、今後何千年経とうとあり得ない。つまりこのような視点、いわば本物志向の精神をもって仕事を創造するのであれば、決してその仕事に寿命はこないと考えよ。

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