2008年7月5日土曜日

為政(いせい)第二-十四

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子曰、君子周而不比、小人比而不周、

子(し)曰(のたま)わく、君子は周(あまね)うして比(ひ)せず、小人(しょうじん)は比して周(あまね)うず。

先生がいわれた、「君子はひろく親しんで一部の人におもねることはないが、小人は一部でおもねりあってひろく親しまない。」
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■君子と小人の差は、紙一重。「人間関係力」の濃淡にあり。

 「小人」とは「君子」とは反対の意味で「つまらない人」。身分の低い者と徳の無い者との両意があるが、ここでは後者の意味だろう。君子はすべての者に対して愛を持ち、愛憎の私心は無い。これが普遍的な愛であり、他人に対して偏らないということである。徳の高い人物は、自分だけの小さな判断基準で人を避けたり恨んだりしないものだ。一方、小人は広く愛することができずに、自分に都合の良い者とだけ組んで生き、自分の利益に害のある者を憎む。
 私たちの周りにも、このような人間でいっぱいだ。派閥、学閥を作りだがる者、人の好き嫌いが激しい者、身内には厚く他人には冷たい者など。結局このような行為の裏には「自分だけを守りたい」あるいは「自分に自信がないから他人を怖がる」という心理がある。本当に強い人間は、どのような他人に対しても、突っ張ることなく、威張るともなく、いつも自然体で付き合えるはずだ。
 ビジネスにおけるお客様に対する心構えもこうあるべきであろう。客の好き嫌いを超越して、誰に対しても、笑顔で誠心誠意相対する人は、必ず良い成績を残す。上得意ばかりを大切にして、大多数の一般客を軽くみている者は、いつしか必ず足下をすくわれるはずだ。その上得意先が、永遠に自社のファンでいる確証は無いし、また本当に物が分かっている上客は、自分だけに特別いい顔をしている者たちの心理を快く思ってもいないはずだ。いずれ、その依怙贔屓の結果は突然やって来る。

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